西陣は京都市街の西北にあたるエリアで、平安時代から織物生産が盛んなところです。応仁の乱が終わると離散していた織物職人が京都に戻り、西軍の陣地があった場所で織物作りを再開するようになります。西陣という名は西軍の陣地が由来です。
西陣織は高級絹織物の総称で、西陣はイタリアのミラノと並び世界的な高級絹織物の産地と認識されています。数多くの作品を世に送り出し、職人は1000年以上も前から織物を織り続け伝統を現在に伝えます。西陣の発展の基礎は、京都の宮廷文化にルーツを持つ優れた美意識にあります。
安土桃山時代には明の技術が輸入され、新しい織物が登場します。高級な西陣織の基礎ができてからは、黄金時期を迎えます。江戸時代は徳川幕府の庇護を受け、千両を超える糸取引が行われるようになります。享保15年の家事により、多くの民家と織機が消失し、西陣の危機が訪れます。
さらに明治2年の東京遷都で大きな顧客を失います。生糸の輸出が増加したことで国内の生糸価格が高騰し、西陣が崖っぷちに建たされます。京都は西陣織を守る計画を立て、明治2年に西陣物産会社を設立します。明治20年代に入ると西洋式の技術も定着し、西陣は最大の絹織物産地の名声を獲得することになります。
第二次世界大戦が終わると、機械化はさらに進みます。新しい技術が導入され、現在では作業工程が分業化されています。西陣織会館は西陣500年記念事業で竣工されます。現在では京都の定期観光バス指定コースにもなっているので、毎年海外からも多くの観光客が訪れます。西陣織に関する豊富な資料がある工藝美術館には西陣織の実演コーナーがあり、手織りの体験もできます。
西陣織会館では様々なイベントが開催されています。華やかな和装の美しさを詳記する着物ショーは、毎日開催されます。伝統の技を体験できるコースは、短時間で物づくりの体験ができるため学生にも好評です。織物の産地でしか味わえない伝統の技と美を、存分に楽しむことができます。西陣織会館では和裁全般の技術と知識を習得できる教室があり、見学も可能です。西陣和裁ファッションスクールは毎月入学ができ、普通コースは和裁の基礎から学ぶことができます。織物産地の見学や伝統的工芸品展示会などの見学、研修会もあります。本格的に和裁を勉強したい場合は、西陣織高等職業訓練学校で学ぶことができます。西陣織高等職業訓練校は、西陣織会館7階にあります。