“京都国立近代美術館は、1895年に開催された内国勧業博覧会の跡地に作られた岡崎公園の中にある美術館です。市営地下鉄東西線の東山駅からは、徒歩10分の場所にあります。1963年に勧業館の別館を改装する形で開館しました。現在は独立行政法人国立美術館が運営しています。現在の建物は、日本を代表する建築家の1人として知られる槇文彦の設計によるものです。槇文彦は建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞したことでも知られています。ポルトガル産の花崗岩が使われたグリッドが特徴的で、正面には対称性のあるデザインです。それは平安京の遷都から1300年も続いた京都のグリッドを表現しており、この地の歴史を浮かび上がらせている建築物といえるでしょう。
京都国立近代美術館の運営方針には、まず開館当時の工芸に力を入れてきた伝統を継承することがあります。次に日本の近代美術史の全体的な流れを展望しながら、関西で活躍した美術家を取り上げて京都を中心とする近代美術の回顧や展望を試みることも挙げられます。そして、変貌を繰り返している現代美術の動向を国際的な観点から把握してその様相を紹介することも方針としています。
所蔵しているコレクションには、「タピストリーの裸婦(藤田嗣治)」「娘達(小磯良平)」「大原女(土田麦僊)」「編みもの(浅井忠)」「海辺巌(横山大観)」「静物—パレット、燭台、ミノタウロスの頭部(パブロ・ピカソ)」等があります。年に4回から6回程度、特別展や企画展が開催されています。
また、2007年からは国立映画アーカイブと協力し、国立映画アーカイブが所蔵する映画コレクションの京都での継続的上映を目指したフィルム・プロジェクトも行ってきました。2009年からは、「MoMAK Films」という定期上映会も行っています。国内外の名作映画の貴重なコレクションを鑑賞することができます。
それからより多くの人に美術館利用の機会を提供するために、様々な教育普及活動も実施しています。自発的な学習や研究活動をサポートする学習支援も行っており、小学校や中学校、高校などと連携しながら様々なプログラムを開催します。教員向けの研修なども行っていますし、展覧会を別の角度から楽しむワークショップなども実施しています。一般向けのワークショップだけではなく、子供向けやファミリー向けのワークショップもあります。「見る」だけではなく、体験できるプログラムも用意しています。”