京都市の伏見区にある月桂冠大倉記念館は、酒造会社の「月桂冠」が運営している企業の博物館です。「酒ミュージアム」と呼ばれることもある施設で、伏見の日本酒造りについてや歴史についてなどを知ることが出来ます。良い水に恵まれていた伏見は古くから酒造りが盛んな地域で、いくつもの酒造メーカーの酒蔵がある地域でした。月桂冠も1637年(寛永14年)に創業したという歴史が古い老舗で、その発祥の地にあった酒蔵を改装してオープンしたミュージアムです。記念館の建物は1909年(明治42年)に建てられたもので、他にも「京都市有形民俗文化財」に指定されている酒造用具などを展示しているのが特徴です。
エントランスを入ると、昔ながらの酒蔵の雰囲気を再現した空間がひろがっています。風情がある土間になっていて天井は高く、米松を使用している梁が目を引く造りとなっています。建物の中には酒造りに使われていた井戸もあり、酒造りに適した水を見学することが可能です。そして順路は内蔵酒造場や職人の宿舎に囲まれた中庭へと繋がっています。予約をしている場合には、月桂冠酒香房という1906年に造られた蔵内でもろみの発酵を見学することも可能です。展示室では木桶や酒樽など酒造りに使われていた数々の用具を見ることができ、工程順にみることが出来ます。また江戸時代に使われていた酒器や、明治・大正などの古い時代の商品や広告なども展示されているミュージアムです。内庭には庭園もあり、休憩をすることができるようになっています。さらに見学の最後には、きき酒どころで3種類のお酒の試飲をすることも可能で、お酒が好きな人にとっては嬉しいポイントとなっています。また売店も併設されているのでお土産に気に入った日本酒があれば購入して帰るのも良いでしょう。奈良漬けや酒まんじゅう、オリジナルグッズなどもあるので、お酒が飲めない人へのお土産も購入可能です。
月桂冠大倉記念館を個人で見学する際には予約をする必要はありません。ただし15名以上の団体の場合にはあらかじめ予約をして訪れる必要があるほか、オプションの「酒香房」見学は個人の場合でも予約をする必要があります。入館料は大人400円で中高生は100円で、お土産として180mL入りの大吟醸酒が1本ついてきます。ただし未成年の場合には絵はがきです。基本的には朝9時半から16時半まで開館していて、お盆と年末年始が休館日となっています。乗用車22台が駐車可能な駐車場があり、車での来館も可能です。