京都を代表する世界遺産でもある建物の1つ金閣寺を紹介すると、美しい金箔の外観が生える贅を尽くしたお寺で、内装にも金箔が用いられている3層楼閣建築の寺院です。金閣寺は舎利殿を含む寺院全体を指す名前で、舎利殿そのものは鹿苑寺が正式な名称です。ちなみに舎利殿とは、お釈迦様のお骨が詰まっている舎利のことです。このお寺の名前は創設者の室町幕府、3代将軍足利義満の法号、鹿苑院殿にちなむものです。
金閣寺の歴史は1200年代にまで遡り、当時は西園寺公宗が西園寺を建立して山荘を営んでいました。これらの施設は公経の子孫、西園寺家が代々引き継いできた歴史があります。ところが、鎌倉幕府滅亡の直後に当主、西園寺公宗による後醍醐天皇暗殺計画が発覚した為、謀反で処刑され財産の没収に至ります。やがて西園寺は管理が行き届かず荒れてしまいますが、領地との交換で西園寺を譲り受けた3代将軍足利義満により、改築と新築が行われました。当時、山荘は北山殿や北山第と呼ばれ、いつしか金閣寺と呼ばれるようになりました。1897年には古社寺保存法に基づき、特別保護建造物に指定されています。1929年に国宝保存法の施行で国宝に、1959年には特別史跡・特別名勝の指定を受けました。しかし、実は1950年に放火で舎利殿が燃えており、安置していた仏像などが焼失しています。国宝指定は解除されましたが、政府の補助や各自治体の寄付を受けて1955年に復元しました。
世界遺産に登録が行われたのは1994年のことで、文化遺産に登録されています。金閣寺の見どころは落ち着きと歴史を感じさせる環境と、そこに溶け込む舎利殿です。遠くから見ても絵になりますし、近づいて舎利殿を背景に写真を撮るのも魅力的です。総門前に足を運ぶと、お寺の格の高さを表す5本線が目に入ります。門の先には鐘楼があって、有料ですがつくことができるようになっています。拝観料を支払うとお札がいただけるので、ありがたみを覚えると共に記念になるでしょう。
3層の楼閣建築に用いられている金の総量は約20kgですから、薄い金箔といえども純金をまとう建物の姿には圧倒されるはずです。鏡湖池に映る逆さまの金閣も見どころですし、周辺や背景の美しく豊かな木々も相まって、ついつい見とれて時間を忘れてしまうほどです。散策して回ると、足利義満とその次代にゆかりのある立派な盆栽や泉、夕佳亭という茶室が目に入るので、これらも見逃せないです。