観世会館能楽堂は伝統と歴史のある能の文化継承と、周知活動をしながら伝統を継続することを目的に運営されている組織になります。600年をこえる歴史を持つ能文化と観世家には、無形の踊りや所作だけではなく、装束や面などを含めて形になっている文化の継承も数々されてきました。こうした数々の物たちは歴史を伝える意味で重要な文化財であり、これからも末永く伝承させてゆくべき文化の賜物であります。京都岡崎にある観世会館にはこうした文化遺産と、歴史を伝える書物などが所蔵されており、来訪者に人気のロケーションになっております。

能は14世紀の室町時代に成立されたと言われており、600年の歴史の中で伝統文化として磨かれてゆき無駄を削ぎ落した様式美の舞台芸術の特徴があり、顔を隠す面を身に付けて日本伝統の美しい装束を身にまとって演じられます。独自の舞台になりますが、見解としては歌舞伎の一種として評価されております。よりコメディ色を強めた狂言も歌舞伎の一種であり、パフォーマンスの方向性が違う物の、源を同じくする歌舞伎であると言われているのです。方向性が違い前者は人間の悲しみや怒りなどを表現することに長けており、懐旧の情や恋慕などの深い部分にある感情を呼び起こしてくれます。後者は笑いや陽気さなどと共に、ペーソスや生きる喜びなどを混在させた歌舞伎になるのです。どちらも不可侵ではなく、お互いの存在の一役を担い、実際に劇場舞台上で共演することもあります。
舞台で演じられるのは240曲と言われており、その中で実際に演じられるのが半分の120曲になるのです。登場人物は戯画化されているのが特徴であり、役柄は型にはめられたステレオタイプになります。代表的なのは源氏物語や伊勢物語に登場するような、悲運の中で絶命した美男美女の幽霊や、平家物語のように合戦の中で敗将になった武将の幽霊などを登場させ、恨み節の中で人間の持つ深い情愛を無表情な面を使い表現することに真骨頂があるのです。幽霊だけではなく妖精や、神話に登場する神々や鬼などの、神出鬼没なミステリアスな存在も役柄として数多く登場することが特徴になります。
観世会はこうした舞台芸術を過去から未来にかけて守ってゆく団体であり、京都や東京に拠点を持っているのです。分派などもあるので、団体は複数存在しております。共通するのは歌舞伎の中の一派である能を守りながら伝承させることです。